Photo 65

Title is “ 帰ろう。家へ。 ”
カモメ達が水平線上を飛んでいた。
僕はファインダー越しにカモメ達を見つめる。
ひょっこりとカモメ達が僕にこう言ってきた。
「オッサン。俺らは家に帰るぜ。オッサンは?」
僕はカモメ達にこう言った。
「もう少し写真を撮ったら帰んべっかな。」
ふうん。そうなんだ。ってな表情で、羽ばたくカモメ達。
「ま、寒みぃからよ、適当なところで切り上げねーと風邪ひくぞ。またなっ!」
と、僕に告げて目の前から飛び去って行った。
いやぁ、ホントに寒みぃや。
手を口にあてて、ふうーっ!っと温かい息を吹きかけた。
いけねっ!カモメ達に肝心なことを聞き忘れた。
僕はカモメ達にこう聞きたかったんだ。
水平線の向こう側に夏が見えるかい?ってね。
ま、いいや。また今度会った時に聞こう。
本格的に身体が冷えてきちまった。
さ、急いで帰ろう。家へさ。
僕はカメラを首からぶら下げ、コートのポケットに両手を突っ込む。
そして小走りしながら家路についた。
目の前のアスファルトには、背後の夕陽が作り出した僕の影が
僕より先に家路へと向かって小走りしていた。
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